赤と黒で横に二分割されているアンゴラ国旗。
中央には鉈・歯車・星を配置したこの国旗はある国との結びつきを強調したものだったのです。
果たしてどこの国との結びつきを強調しているのでしょうか?
また、実は新国旗への変更が提案されているアンゴラ国旗。
果たしていつまでこの国旗を使うのか?
※因みに新国旗案が提案されていますが、未だに承認されておらず変更されておりません…
新国旗の図案はどのようなものなのか?
触れて行きたいと思います。
目次
アンゴラ国旗の意味や由来
アンゴラ国旗の制定までの経緯
アンゴラ国旗の変更案
アンゴラの由来
基礎情報(外務省HP)
まとめ
アンゴラ国旗の意味や由来
アンゴラ国旗は上が赤色、下が黒色の横二色旗です。
旗比率は2:3。
良くあるパターンの旗比率となっております。
中央には黄色で星・歯車・鉈、の意匠が配置されてます。
制定年は1975年11月11日です。
それではそれぞれの意味について見て行きましょう。
赤色は解放闘争で流された血や植民地時代の迫害で流された血を表しています。
まぁ植民地時代のある国旗で赤色が採用されている場合は大抵このケースですよね。
次に黒色ですが、黒色は独立闘争を戦った国民とアフリカ大陸を表しています。
黒色は地域や国によって結構意味が変わってくる事が多いので面白いですよね。
黄色は国の富を表しています。
アンゴラに何の富があるんじゃらほい?
とお思いの貴方の疑問に答えましょう!
アンゴラは実はダイアモンドや石油の産地なんですよ。
アンゴラ国旗の黄色はそれを表したものだったんですね。
次にアンゴラ国旗の中央に配置された意匠についてです。
まず鉈は農民を表しています。
小麦やら米やらを刈り取る時に使いますよね。
アンゴラはトウモロコシの伐採に使われている…かもしれません。
※アンゴラの主食はトウモロコシやキャッサバの粉を餅状にしたフンジ
歯車は工業労働者を表しています。
そして星は社会主義国家の建設を意味しています。
農民・労働者・社会主義とくれば…そう、旧ソ連ですね。
アンゴラ国旗は旧ソ連との結びつきを強調した国旗でもあるのです。
なぜ旧ソ連との結びつきを強調した国旗になったのでしょうか?
その理由はアンゴラ解放人民運動という党にあります。
アンゴラがポルトガルの植民地支配からの解放を求めて独立戦争を行った時に
主体となった組織がアンゴラ解放人民運動という党です。
その為、アンゴラ共和国がポルトガルから独立した際、アンゴラ解放人民運動の党旗を基に
今の国旗の図案が制定されたとの事です。
※当時はアンゴラ共和国では無くアンゴラ人民共和国
これがアンゴラ解放人民運動の党旗です。
中央の星を小さくして歯車と鉈を追加したらアンゴラ国旗になりますね。
因みにこの党旗、南ベトナム解放戦線の党旗の意匠にならったものと言われています。
下の黒地の部分を青地に変えると南ベトナム解放戦線の党旗になっちゃうんですよね。
何故そのような意匠になっているのかと言いますと、アンゴラ解放人民運動は結成当初から
反米新ソを基本方針としていたからです。
こういう経緯で党旗の意匠もこのようになったとの事です。
アンゴラ国旗の制定までの経緯
さて、アンゴラ国旗制定の経緯についてですが…
15世紀後半、ポルトガル人がアンゴラへとやってきました。
16世紀にはポルトガルはアンゴラを植民地化し始めます。
ここからたくさんの黒人奴隷が南アメリカへと連れていかれました。
第二次世界大戦が終結すると、世界中で独立戦争が戦われるようになりました。
当然アンゴラも例外では無かったのです。
1961年、アンゴラ解放人民運動(MPLA)がアンゴラ独立戦争を開始しました。
また、アンゴラ人民同盟(UPA)も独立運動を始めました。
尚、アンゴラ解放人民運動とアンゴラ人民同盟はどちらが主導権をとるかで争いました。
呉越同舟とはいかなかったようですね。
1974年、ポルトガル本国でカーネーション革命が起きました。
1975年11月11日、アンゴラ解放人民運動は独立宣言を行いました。
国旗も同時に制定されたのです。
こうしてアンゴラ国旗は制定されましためでたしめでたし…
と、なるのですが…
この後、アンゴラ内戦が起きてしまいます。
折角なのでそこも軽く解説しておきましょう。
アンゴラ解放人民運動が主導権を握った事でアンゴラ国民解放戦線(アンゴラ人民同盟から再編・改名)とアンゴラ全面独立民族同盟が反発。
内戦へと発展します。
アンゴラ国民解放戦線はキューバとソ連が支援を行いました。
一方、アンゴラ国民解放戦線はザイールとフランスの支援を受けました。
アンゴラ全面独立民族同盟は南アフリカ共和国とアメリカ合衆国から支援を受けました。
見て頂くとお解り頂けると思いますが、まさしく東西冷戦の代理戦争状態です。
朝鮮、ベトナム、アンゴラ、という訳です。
内戦が長期化し、アンゴラは疲弊しました。
1990年に、冷戦体制が終結に向かって行った為、アンゴラ解放人民運動は社会主義路線を放棄しました。
1991年、複数政党制の導入を決定(今までは一党独裁制でした)。
アンゴラ解放人民運動とアンゴラ全面独立民族同盟は和平協定を締結しました。
1992年、大統領選挙、議会選挙を巡る対立から再び武力衝突が発生。
和平協定の意味とは…?
因みにこの年、憲法改正によりアンゴラ人民共和国からアンゴラ共和国へと国名を改訂しています。
1994年には再び和平が締結。
1998年、再びアンゴラ全面独立民族同盟が再蜂起。
2002年、アンゴラ全面独立民族同盟のサヴィンビ議長が戦死。
休戦協定が締結されます。
こうしてようやくアンゴラ内戦は一息つくこととなったのです。
ただし、アンゴラ全土にはまだ大量の地雷が残されています。
アンゴラ国旗の変更案
アンゴラの国旗は上記のような経緯を経て制定された為、新しく制定しなおそう!
という提案がされているんですね。
では、新しい国旗の図案が2003年に提案されているのでそちらを紹介したいと思います。
なんかほんわかしてて良いですね…
因みに、色の意味等は解りません!
勝手に予想してみます(おい)
青は大西洋と海洋資源、もしくは空を表している…とか…
白は平和への願い
赤は独立闘争で流された血
黄は国の富
ですかね…?
太陽っぽい図案は太陽で良いのではないでしょうか。
アンゴラの輝く太陽と国内の団結、等を表している、と想像します。
因みに、この新国旗、未だに承認されておらず、正式導入されていません…
アンゴラの由来
アンゴラの由来は「BantuNgola」(バンツー・ンゴラ・バントゥー族の王)のンゴラから来ています。
このンゴラ、というのは王の称号であるンゴラに由来するとの事です。
基礎情報(外務省HP)
国名:アンゴラ共和国
独立:1975年11月11日
国旗制定:同上
旗比率:2:3
面積:124.7万平方キロメートル(日本の約3.3倍)
人口:2881万人
首都:ルアンダ(因みに世界一物価が高いとのこと)
民族:オヴィンブンドウゥ族(37%)、キンブンドゥ族(25%)、バコンゴ族(15%)等
言語:ポルトガル語、その他ウンブンドゥ語等
宗教:在来宗教(47%)、カトリック(38%)、プロテスタント(15%)
通貨:クワンザ
国歌:Angola Avante!(進めアンゴラ!)
まとめ
・アンゴラ国旗はアンゴラ解放人民運動の党旗がモチーフになった
・アンゴラ国旗の赤色は流された血
・アンゴラ国旗の黒色はアフリカ大陸
・アンゴラ国旗の黄色は国の富(ダイアモンドや石油)
・アンゴラ国旗の意匠は鉈(農民)・歯車(労働者)・星(社会主義)
・アンゴラは長い間ポルトガルの植民地だった
・アンゴラは独立直後から長い内戦に突入していた
・アンゴラの内戦は東西冷戦の代理戦争だった
・アンゴラは新しい国旗が提案されているが承認されず放置されたまま久しい
以上です。
如何だったでしょうか?
アンゴラの地雷、早く全て撤去されると良いですね…まだ数百万発残されているとの事です。
因みに2003年に提案された新国旗ですが、もぅ忘れさられていませんかね…?